【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

甲状腺がん発生100倍も チェルノブイリ影響 WHO会議報告

【ジュネ-ブ20日=竹内敬ニ】

1986年に起こったチェルノブイリ原発事故による放射能被害で、手どもの甲状腺(せん)がんが90年代になって急増し、事故前と比べると発生率が100倍にもなっている地域があることが20日、ジュネーブで開幕した世界保健機関(WHO)主催の「チェルノブイリと他の放射能事故の健康影響に関する国際会議」で報告された。
WHOは、放射能被害の大きいベラルーシ、ウクライナ、ロシアの3カ国と協力して昨年まで大規模な健康影響調査をした。この結果の一部を、中嶋宏・WHO事務局長は開会演説の中で明らかにした。
中嶋事務局長と会議に出された資料によると、3カ国の放射能汚染地区の14歳までの子どもを追跡調査したところ、事故発生以降、ベラルーシで333人、ウクライナで208人、ロシアで24人の計565人の甲状腺がんが確認された。
年間の発生率は年とともに上昇しており、ベラルーシの場合、事故前は100万人当たり約1人だったのが、90年から2けたになり、94年には同36人(36倍)となった。とくに同原発の北方にあり、放射能雲が通り過ぎたゴメリ地域の94年の発生率は100倍にもなった。また、がんのほとんどが極めて悪性で、周囲の組織や肺に転移しやすく、多くの子どもがすでに死亡したという。

(朝日新聞 1995/11/21)