ドローンによる「意図的な」旅客機ニアミス事件が多発

ドローン(無人航空機)と旅客機の「意図的なニアミス」が英国で報告された。その飛行経路と高度から、着陸する旅客機との衝突を意図したものだろうと調査委員会は述べている。米国でも同様の事件が起きている。
ドローンによる「意図的な」旅客機ニアミス事件が多発

問題のドローンに似た参考画像。機種は「Walkera QR X350」。PHOTO BY DOODYBUTCH

英国民間航空局に付属する「異常接近調査委員会(UK Airprox Board)は10月26日付けで、旅客機とドローン(無人航空機)が衝突しそうになる同国初の出来事が2014年5月に起こっていたことを明らかにした。

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『Daily Mail』紙が報じた同委員会の報告によると、定員74席の旅客機「ATR 72」から「80フィート(約24m)以内」の距離を、クアッドコプター1機が「意図的に」飛行したという。

このニアミスは、同旅客機がエセックス州上空でロンドン・サウスエンド空港への着陸準備をしているときに起きた。報告によると、高度約460mの上空で、クアッドコプターが旅客機の右翼に衝突しそうになったという。

問題のドローンは、その飛行経路と高度から、着陸する旅客機との衝突を意図したものだろうと同委員会は述べている。

報告には、ATR 72のパイロットと航空管制塔との通信内容が含まれている。その中で管制は、問題の赤と白の航空機がおそらくクアッドコプターであるとし、「付近で数回目撃されている」と述べている。

英国で事件が報告された少し前の2014年3月には、米国でも、フロリダ州タラハシーの空港近くで、旅客機と、「迷彩色にペイントされた」ドローンが衝突しそうになる出来事があった(日本語版記事)。この時は高度が600mを超えていたという。

2つの事件とも、問題のドローンも、その操縦者も見つかっていない。

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高性能ドローンが手ごろな値段になっており、ヨセミテ国立公園に墜落した事故など、その無計画な飛行の報告が世界中で増加している。英国航空操縦士協会(British Airline Pilots’ Association、BALPA)の代表者は今週、これらの懸念について英国貴族院で話をする予定だ。

TEXT BY SAM MACHKOVECH

TRANSLATION BY RYO OGATA/GALILEO