東京電力福島第一原発の事故当時、原発敷地内に駐車していて
高濃度に汚染された東電社員らの車について、東電が適切な管理
を怠っていた。なかには、中古車市場に流通したり、近隣住民との
間でトラブルを起こしたりしている車も出ている。専門家は「放射線
量の高い車は、敷地内で発生したがれきと同様に扱うべきだ」と
指摘している。
東電広報部によると、震災から12日後の3月23日からJヴィレッジ
(福島県楢葉町、広野町)で放射線検査と除染を始め、一定レベル
以上の放射線量の車は外部に出せなくしたが、それ以前は原発
敷地内から検査なしで車を持ち出すことが可能だった。
震災時、原発内には東電社員755人と協力企業の従業員5660人
がいた。社員らが駐車していた車や事故後に持ち出した車の台数は
「把握していない」という。
今年6月、東電社員から修理を頼まれたという福島県内の自動車
修理業者は、「車のワイパー付近で毎時279マイクロシーベルトを
計測したんです。何で、こんな車が原発の外に出るのか」と憤り、測定
した際の写真を差し出した。
仮に1日12分間浴びた場合、年間被曝(ひばく)量が、国が避難を
促す目安の年間20ミリシーベルトを超える値だ。