三原と樋口が国別対抗戦で大躍進 FS日本最高得点も、問われる真価

スポーツナビ

わずか10分足らずで2度の記録更新

三原(左)と樋口が、1日でFSの日本歴代最高得点をマーク。日本女子フィギュア界に新たな時代の幕開けを感じさせた 【坂本清】

 3週間前の世界選手権で、過去3大会維持していた五輪の出場枠「3」が「2」に減った。そして今月10日には、長年に渡り日本の女子フィギュアスケート界をけん引してきた浅田真央(中京大)が現役引退。この1カ月間、女子に限って言えば明るい話題は少なかった。

 しかし、20日から行われた国別対抗戦は新たな時代の幕開けを予感させた。女子フリースケーティング(FS)で三原舞依(神戸ポートアイランドクラブ)と、樋口新葉(日本橋女学館高)がFSの日本歴代最高得点を更新したのだ。

 先陣を切ったのは8番滑走の樋口だった。2度の3回転ルッツ+3回転トウループをきれいに決めるなど、ノーミスの演技を披露。自己ベストを大きく上回る145.30点をマークし、宮原知子(関西大)が持っていた最高得点を塗り替えた。

 驚きはこれだけにとどまらない。10番滑走で登場した三原も、すべての要素に加点がつく完璧な演技で樋口に続く。発表されたスコアは146.17点。わずか10分足らずの間に、2度も記録が更新されたのだ。

「自分も舞依ちゃんも、ショートプログラム(SP)もFSも完璧だったと思うので、それが本当に良かったです」(樋口)

「先に滑った新葉ちゃんの点数を控え室で見ていたんですけど、すごく高得点だったので、私も続いていけるようにしたいと思っていました」(三原)

 女子FSでは三原が2位、樋口が3位に入った。2人の活躍もあり、日本は3大会ぶりに国別対抗戦で優勝を果たした。

重圧にさいなまれた世界選手権

 三原と樋口は共に今季がシニアデビュー。グランプリシリーズにも参戦し、全日本選手権では樋口が2位、三原が3位で四大陸選手権と世界選手権の出場を勝ち取った。

「ミスの少ない安定した演技が持ち味」の三原は、その特長を存分に発揮し、四大陸選手権でSP4位から逆転優勝を飾った。しかし、世界選手権のSPでは「ほとんど失敗をしたことがなかった」という最後の3回転フリップが2回転になってしまう痛恨のミス。15位スタートからFSは自己ベストを更新し、巻き返す健闘を見せたが、5位にとどまった。

 一方の樋口は年明け以降、調子が上がらず、四大陸選手権では9位。挽回を期した世界選手権でもSPは9位につけながら、FSでは11位に順位を落とし、悔し涙に暮れた。初出場の世界選手権が、五輪の枠取りも懸かった重要な大会となり、加えてケガで欠場したエース宮原知子(関西大)の穴埋めも期待された2人が、大きなプレッシャーにさいなまれたことは想像に難くない。

 三原が「すごく緊張していた」と言えば、樋口も「余裕がなくて、焦っていた」と振り返る。男子は羽生結弦(ANA)と宇野昌磨(中京大)で1、2フィニッシュを飾っただけに、優勝争いどころか五輪の出場枠まで減らしてしまった女子との明暗がくっきりと分かれる格好となった。

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