ももクロ佐々木彩夏×三宅宏実 2人が語る『アイドルとスポーツの融合』

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ももいろクローバーZの佐々木彩夏(右)と三宅宏実が「アイドルとスポーツ」と語りつくす! 【写真:坂本清】

 東京オリンピックまであと3年となった2017年夏。ヨーロッパでは世界水泳、世界陸上が立て続けに行われ、翌18年は平昌冬季オリンピックが開催、19年には日本でラグビーW杯と、3年後の東京に向けて、スポーツの世界的ビッグイベントが目白押しだ。

 日本中がスポーツの話題でますます盛り上がる中、5人組のアイドルグループ『ももいろクローバーZ』(百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、有安杏果、高城れに)が1年ぶりにリリースする新曲『BLAST!』も“スポーツとの融合”がテーマとなっている。ミュージックビデオではももクロのメンバー5人がスポーツ選手に変身し、柔道、フェンシング、ウエイトリフティング、卓球に挑戦。そして、オリンピックメダリストの山部佳苗選手(柔道)や三宅宏実選手(ウエイトリフティング)、織田信成さん(フィギュアスケート)ら豪華アスリートと共演しているのだ。

 今回、ももクロのピンク担当で“あーりん”こと佐々木彩夏さんと、ロンドンで銀、リオで銅と2大会連続でオリンピックメダリストに輝いた三宅宏実選手のスペシャル対談が実現。国民的アイドルと国民的アスリートが語るミュージックビデオ撮影の裏側、意外な(?)あーりんのスポーツの才能、そして「アイドルとスポーツの融合」とは――。

「こんなにスポーツで褒めてもらえたのって初めてなんです」

ウエイトリフティングの才能を認められたあーりん「スポーツでこんなに褒められたの初めて(笑)」 【写真:坂本清】

――まずは、8月2日に発売される新曲『BLAST!』について教えてください。

佐々木(以下、あーりん) はい。今回のシングルは4曲入っているんですが、その4曲全てがスポーツや試合に関連した曲になっているんです。でも、スポーツをやっていない方でも、例えば受験だったり自分の中の試練に立ち向かうときとか、立ち向かうまでをこの4曲で伝えたいなと思って作りました。今までも応援する曲とかはたくさんあったんですけど、今回の『BLAST!』は応援するというよりは“自分が頑張る曲”になっています。

三宅 すごくカッコいい曲ですよね。ラップのパートとか本当にカッコいいと思います。すごく元気がもらえて、素敵な曲だなと思いました。

あーりん ありがとうございます(笑)。

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――佐々木さんご自身としては、自分のパートも含めて「ここを聞いてほしい」という部分はどこでしょうか?

あーりん 今回は「力強く歌うように」と5人とも指示されていて、私は特にせりふっぽいパートだったり可愛いパートがいつも多いんですけど、今回はそうではなくて、ちょっとうなっていたりとか、5人とも力強く歌っているところがポイントです。

――「Over Drive」のところですね。

あーりん はい(笑)。「Over Drive」のところも「もっとうなって! もっとうなって!」って言われて、挑戦しました。

――その「BLAST!」のミュージックビデオ(MV)では三宅選手と佐々木さんが共演されているということで、今回の対談が実現したわけですが、ももクロの中でも特に佐々木さんは“可愛い担当”で……。

あーりん ピンクですから(笑)、ピンク担当なので(笑)。

――はい(笑)、そういうことで三宅選手の前でこういうことを言うのは大変失礼なんですが、そんな佐々木さんがウエイトリフティングをするというのはどのような経緯、理由があったのでしょうか?

あーりん メンバーの中で一番力が強いというか、みんなに「圧が強い」って言われていて、例えば「もぉ〜!」とか遊びで言いながら叩いたのがすごく痛かったりするみたいです(笑)。握力とかもメンバーの中で一番強いんですけど、それのイメージかな?って思いますね。

「本当にお上手でした」と三宅選手(左)の言葉にあーりんも照れまくり 【写真:坂本清】

――MVでは佐々木さんがウエイトリフティングの選手、三宅選手がコーチとして出演されています。撮影している中での印象に残っているエピソードを教えてください。

三宅 すごくお上手でした。スナッチをする場合、普通の方だとウエイトリフティングの姿勢をとることができないんです、難しくて。でもその姿勢をパッと決めてしまったので、もう言うことがないと言いますか……。

あーりん いえいえ、そんな(笑)。

三宅 本当にお上手だったんです。これは本当にお世辞抜きで、普通の方だったら腰を張れなかったりとか、最初のスタートの姿勢がとれないんです。でも、あーりんさんは最初からきれいに決まっていて、ヒジもグッと「く」の字にしっかり入るんです。なので、バーベルを挙げ終わったときのヒジの位置、形もすごくきれいでしたので、本当にお上手でした。これはすごいな、と感激しちゃったんです。「技術がすごい!」って。他のメンバーの方も挑戦してくださったんですけど、やっぱり最初の姿勢をとるのがなかなか難しかったんです。でも、あーりんさんはパッと決めていたので、そこにビックリしちゃって、「本当に素晴らしい!」って思いました。

あーりん ウエイトリフティングはもちろん初めてで、バーベルを持ったこともなかったですし、姿勢をとったのも初めてだったんです。でも、最初の姿勢をとったところから力が入らないと言うか、実際に最初のしゃがむ姿勢になったはいいものの、「ここからどうやってバーベル挙げたらいいんだろう?」って力の入れ方が全然分からなかったです。そこから三宅選手に教えていただいて、すごいパワーが必要なんだなと改めて感じました。でも、ウエイトリフティングって、見てるだけのイメージだと力ずくで「ハッ!」って持ち上げているのかと思っていたんですけど、実際は力ずくでは絶対に持ち上がらないですし、足のスタンスの広さとか色々と細かい場所や力を入れるポイントがぴったりと重なったときに、グッときれいに挙がるんだなって実際にやってみて感じました。

――もうアスリートみたいな話になってきましたね。

あーりん いやいや、そんなことないです(笑)。

三宅 そうした技術的なこともちゃんと分かっているんだなぁって思いますね。撮影の当日に持ってきたバーベルがたぶん35kgだったかな? それくらいの重さだったんですけど、一般の女性は35kgというとやっぱり相当重たい重量なんです。ですから、いきなりパン!と挙げちゃったらそれこそ本当にすごいことなんですが、それでも両サイドで補助していただきながら、姿勢も込みできれいな形で挙げていただいたのは本当に素晴らしいと思いましたね。挙げている姿もすごく可愛らしかったですし、すごく素敵だなぁって。ウエイトリフティングをやっていただいて、すごく嬉しかったです。

――え? ちょっと待ってください。実際に佐々木さんは35kgのバーベルを挙げている?

三宅 はい、35kgです。

――本当に失礼な話ですが、実際はもっと軽いバーベルっぽいものを挙げているのかなと。

あーりん そうなんです! でも私も“っぽい”やつを挙げるのかなって思っていたら、本当に重いバーベルがあって、さすがに一人では挙げられないですけど、「本当にやるんだ!」と思ってビックリしました!

――ということは、『BLAST!』のMVでは「あのあーりんが35kgのバーベルを挙げている」姿を見ることができるというわけですね。

あーりん そうですね(笑)。まあ、私と“見えない誰か”が35kgを挙げていると。

三宅 (笑)。

あーりん(右)が挙げたバーベルはなんと35kg! ぜひ「BLAST!」のMVでチェックしよう 【写真:坂本清】

――またMVの見どころの1つとして、佐々木さんが試技を成功させた後にバーベルに抱きつくというシーンもあります。あれは三宅選手のリオデジャネイロオリンピックの名シーンをリスペクトしてですか?

あーりん はい、マネっこしました!

三宅 ありがとうございます。

あーりん 今回の撮影にあたって三宅選手の映像とか他の選手の映像も見せていただいた中で、すごくあのシーンが印象的でしたし、監督も私のぶりっ子しているカットというか、イメージカットを入れてくださるということだったので(笑)、「じゃあ、ぜひ!」ということで、あのシーンを入れていただきました。

三宅 もう、本当にありがたいですよね。嬉しいです。ももクロさんの、しかもあーりんさんですし、ましてたくさんの競技がある中でウエイトリフティングをしていただいて、しかもウエイトリフティングのコスチュームって抵抗があると思うんです。でも、コスチュームを着ていただいて、最後までやりきって、バーベルへの抱擁までやってくださいました。ウエイトリフティングってまだまだマイナーな競技なんですけど、ももクロさんの力って世界を越えるくらい大きいので、これを機にウエイトリフティングに少しでも興味を持っていただける方がいれば、すごく嬉しいなと思いますね。

――それでは、今後は佐々木さんがウエイトリフティングの広報大使として。

三宅 いっぱいファンが増えそうですね(笑)。

あーりん でも、MVがちょっとだけお披露目になったとき、ファンの皆さんの間で「ウエイトリフティングやっていたんだよね」って方がいたりとか、「この持ち上げ方はスナッチだ」とか詳しいモノノフ(ももクロファンの愛称)さんも結構いてビックリしました。

――毎週月曜日に川上アキラプロデューサーが配信している動画の中で「あーりんはこのMVのために体を作ってきた」とおっしゃっていたんですが、これは本当なんでしょうか?

あーりん うーん、そうですね……(苦笑)。基本的にスポーツは全滅で何もできないんですけど、だからこそ気持ちだけはちゃんと作っていきました(笑)。でも、こんなにスポーツで褒めてもらえたのって初めてなんです。本当にスポーツは何をやってもダメで、全部どんくさくて何もできないんですけど、初めてスポーツで褒めてもらえました。

三宅 本当にお上手でしたよ。

――東京オリンピックに向けて逸材を発見したという感じでしょうか?

三宅 もう少し早く出会えていれば……と思います(笑)。

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