1. トップ
  2. ファッション
  3. 東洋の工芸で生まれ変わった、アップサイクル・ジェムと出逢う。【VOGUEエディターの #ChangeChallenge】

東洋の工芸で生まれ変わった、アップサイクル・ジェムと出逢う。【VOGUEエディターの #ChangeChallenge】

  • 2022.1.19
  • 1216 views

服の世界では、アップサイクルはよく取り入れられていますが、宝石(ジェムストーン)のアップサイクルとなると、今手持ちのものを作り直してもらう、ということをイメージする方も多いかと思います。例えば、母からもらったジュエリーを、今風のデザインで作り直してもらう。そんな大切な思い出とともに一生受け継ぎたい大切な思い出が詰まったジュエリーは、本当にかけがえのないものだと思います。でも、昨年末、それ以外にも私たちの知らないところで市場に出回っている貴石が存在することを、知る機会がありました。

私が訪れたのは、南青山の隠れ家的アトリエ。まるで別世界に飛び込んだような静寂が広がるのは、ジュエリーブランド「SHARANPOI(シャランポワ)」のデザイナー・安部真理子さんのサロンです。女性たちの日常に寄り添うジュエリーで人気の「ARTIDA DUO(アルティーダ ウード)」の元ディレクターとして活躍されていた安部さんは、過去に「ストラスブルゴ」でも服の買い付けに関わっていたことがあるファッション感度の高い方。今回は、昨年12月に立ち上げたご自身のブランドについて、いろいろとお話をお伺いしました。 

安部さんが手がけるのは、不要になってリサイクル屋に売られてしまった宝石と、日本やインドの伝統工芸と組み合わせて蘇らせる、唯一無二のジュエリー。「残念なことに、日本では貴重で高価なジュエリーが大量にリサイクルショップで販売されている。そして、それらの多くが、海外に安価で流出してしまっています。そこで、それらを買い戻して、日本で販売できたら、宝石の価値を再認識してもらいつつ環境問題にも貢献できるのではと思いました。ポルキ(インドで生み出された世界最古のダイヤモンドカット技術)やエナメルと言ったインドに受け継がれる伝統工芸、日本の漆工芸、象嵌細工にも以前から興味のあったので、それらを組み合わせてSHARANPOI(シャランポワ)ならではのオリジナルジェエリーを製作しています」

上の写真は、アップサイクルのエメラルドやダイヤモンドを使ったジュエリー。特に近年産出量が減少しているエメラルドは、古い石を探すことで良質なものに出会える可能性が高く、それも利点の一つなのだとか。

台座の部分にハートモチーフがあしらわれているのは、インドの伝統工芸、ポルキを取り入れたリング。細部にまで遊び心が散りばめられていて、心をくすぐられます。

アップサイクルのブリリアントカットダイヤモンドを使用したカフリング。周りにエナメルを流し込んで、土台と石に段差をつけることで、石の存在感を際立たせているのだとか。石そのものが持つ輝きを活かせるかどうかも、デザイナーの腕の見せどころ。

石川県の加賀市にて、約4カ月かけて製作しているという漆のコレクション。桂の木に漆を塗り、アップサイクルのダイヤモンドを施しています。

そのほか、手持ちのジュエリーをリデザインすることも可能。プライベードアポイントで、時間を気にすることなく、安部さんにデザインの相談をすることができます。

そして、今後は、京都の陶芸作家の方とともに、産業廃棄物として社会問題になっている陶片(陶器のかけら)を活用したジュエリー製作を予定しているとのこと。ご活躍がますます楽しみです。

「地球上にすでに存在する資源を活用することこそ、真のサステナビリティ」という信念で、女性たちに新しい価値観を届ける安部さんのジュエリーに、ぜひ、プライベートサロンで触れてみていただけたらと思います。

●SHARANPOI (シャンポワ)住所非公開。プライベートアポイントは以下フォームより。

https://sharanpoi.com/pages/private-appointment

#ChangeChallenge

Text: Kyoko Osawa

元記事で読む
の記事をもっとみる